HBR | フロンティア市場を開拓するには⑤

2019年2月11日月曜日

ビジネス・経済

t f B! P L
【参照記事】Harvard Business Review:Cracking frontier markets

※英文記事を翻訳しているため、一部日本語が読みづらくなっております。あらかじめご了承ください。

前の記事へ「顧客を惹きつけるには」



汚職や制度、インフラについてはどうなのか


フロンティア経済において、市場創出のための組織戦略が完璧であっても、そこには非常に現実的な問題があります。

制度が機能するうえで起こりうるもの、汚職です。

企業はこの問題にどう立ち向かうべきなのでしょうか?

最初に適切なインフラと制度を確立し、汚職を根絶してイノベーションが起きるのに最適な基盤をつくって問題を解決するといった従来の見方は、判断を後退させるかもしれません。

こういった考え方を筆者たちはプッシング(pushing)と呼んでおり、トップダウン(上意下達)や、政府またはNGOによる取り組みを前提の条件として優先させるとしています。

また筆者は 「製品を輸送するのに適した道路ができるまで、工場を建設することはできない」と述べ、この考えは 「信頼できる裁判所ができるまでは、国際的なパートナーを引き付けることはできない」という理論に発展させることができるとみています。

でも実際には、その逆です。

市場創造イノベーションでは、投入された資源によって汚職といった障害が取り除かれるのを待ってはいません。

たとえそういった取り組みが当初から地方自治体によって支持されていなくても、イノベーションが必然的に製品を輸送するための回避策を生み出すか、インフラや制度の確立に投資するのです。

教育について考えてみましょう。

第4回「国連・持続可能な開発目標(SDGs)」では、世界のあらゆる地域で質の高い教育を行うよう求め、開発組織はそのために数十億ドルを費やしました。

しかし、多くの学校が低所得国で建設されていますが、その成果はどこでも同じではありません。

識字率と算数の教育評価によれば、低所得国の学生は、平均して高所得国の学生よりも95%も成績が悪いことがわかりました。

そして学校が教育の義務を遂行しないと、失業率は大きく膨れ上がり、結果として教育に対する不信が広がるのです。

教育におけるインフラと一般的なインフラを別々に考えたらどうでしょうか。

インドのIT企業Tata Consultancy Servicesは独自のアプローチを採用しました。
政府が教育を改善するのを待つのではなく、教育の改善を自らの課題として捉えました。

なぜなら、教育は長期的な成功を実現するために不可欠だからです。

約40万人の従業員を擁するTCSは、インド最大の民間の雇用主の1つです。

顧客のニーズを満たすために、同社はビジネスモデルに「デジタル教育」を取り入れました。

同社は、20万人の従業員をトレーニングしてきましたが、その数が減少する兆しは見られません。

また同社は市場の需要とプロジェクトの仕様に応じて、新入社員や既存の労働者をトレーニングすることをビジネスにしています。

同社のトレーニングは教育をすぐに意味のあるものにします。

従業員はなぜ自分たちが学んでいるのかを理解し、同社はなぜ自身が投資しているのかを理解するのです。

市場創造イノベーションはインフラと教育の改善を促すきっかけになることがあります。

時間が経つにつれて、政府や金融機関はイノベーター(革新者)の成果に着目し、新しい市場を支え始めます。

ナリウッドでの成功が生み出した影響を思い出してください。

ナイジェリア政府は、強力な著作権保護政策を実行し、銀行や金融機関は映画業界に対応するようになりました。さらに、映画製作に対応する教育機関も生まれました。

開発機関も参加するようになり、世界銀行や他の団体もナリウッドに投資するようになりました。

これらはすべて「プル(周りを引き込む)活動」でした。

このようなことが逆転して起こることはめったにありません。

実際、必要に応じて市場に投入されるインフラは、少しずつだが市場の最下部にある「十分に優れた」解決策で構成されることが多いのです。

そして長い目で見れば、これが最も良く、最も早く、そして最も費用効果が高いのです。

例えば、過去20年間にアフリカで携帯電話サービスがどれほど改善されたかを考えてみてください。

ほぼすべてが市場創造イノベーションによるものです。

私たちがいま当然とみなしている多くのインフラの革新は、自社製品をより効率的に製造し販売したいと考えた革新者の賜物でした。

交通機関を例にとって考えてみましょう。

スコットランドには、1907年にミシン会社によって建てられた駅がいまだにあります。

この駅は工場から市場まで製品を効率よく輸送するために建てられました。

アメリカにおける初めの主要鉄道は、投資家と起業家の団体によって建設されました。

これもまた、市場へのアクセスを快適にするためのものでした。
20世紀初頭、グッドイヤー社長のSeiberling氏は道路の建設のために30万ドル投入することを宣言しました。

彼は理事会で承認を得ずにこうした宣言を行いましたが、後にこれは「(グッドイヤーが)配当を生み出すための行動」であると説明しました。

なぜなら、タイヤを売りたがっている人たち(=顧客)は、道路の建設について非常に満足していたからです。

こういったインフラが成長するにつれて、しばしば国家安全保障上の懸念になり、政府は介入するようになりました。

以上に示してきたことは、フロンティア経済にある政府が、インフラ開発の管理や責任を民間部門に移したほうが良いと思われるかもしれないが、そうではありません。
筆者は>、優先順位を決める重要性やインフラの開発および改善におけるイノベーションのきっかけ作り的な役割を強調しているのです。
汚職を根絶するには
1.【従来】プッシング[制度の確立⇒汚職の根絶⇒イノベーション]
2.【理想】プリング(プル活動) [周りを引き込む⇒イノベーション]

次の記事へ「市場創造イノベーションを実生活に取り入れるには」

QooQ