技術経営 | シャープ買収にみる技術経営

2019年4月3日水曜日

ビジネス・経済

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技術経営はMOT (Management of Technology) と称されることがあり、アメリカでは大学院で学ぶ科目となっています。

日本では、商学部・経営学部などで開講している大学もあります。

技術経営とは


企業が持つ独自技術を経営の立場から管理・推進するための能力を指す経営用語です*

どんなに優れた技術力を持っていても、製品化・事業化し、経済的価値を創出していかなければ、意味がありません。そのため、自社が持つ独自の技術を経営資源と捉え、戦略的かつ効率的に活用できる経営人材の需要が高まっています*

技術経営分野での課題


技術経営において、以前は大量生産された製品を対象としていましたが、近年では複雑なシステムを対象としている動きがみられます。

半導体の開発のように技術開発のコストは拡大しているため、1企業での負担が難しくなり戦略的提携が目立つようになりました。

また、製品の特長として製品のライフサイクルが短縮化しており、企業にとっても圧力がかかるようになりました。

産業構造にも変化がでてきており、ICT (Information and Communication Technology:情報通信技術) 分野でも見られるように、従来は垂直統合されていたものが近年、ネットワーク型の産業構造に変化しています。
垂直統合:企業が商品の開発・生産・販売を自社で一手に行うこと。
⇒ネットワーク型:他社とネットワークを組み、必要な技術などを貸し借りする関係に変化

技術経営に見るシャープの弱点


シャープはみなさんお馴染み、液晶などの先端技術でブランド力のある企業です。

そして、2016年3月末、シャープは経営危機を乗り越えるため、台湾のホンハイ精密工業の傘下に入りました。

日本でもかなりニュースになりましたね。

シャープといえば、小型の電卓、液晶テレビ、家電製品などで数々のイノベーションを起こした企業です。

世界で初めて液晶表示の電卓を1973年に初めて商品化したのも同社です。

1979年にはワープロを商品化しましたし、同年に半導体レーザーの開発しソニーのCDプレーヤーにも使われました。

1980年代後半からは、ハードウェア、ソフトウェア、システムとサービスの統合に力を入れました。

また1980年代には「ジャンプ80」という戦略に基づいて、一般消費者向けと非消費者向けの製品の比重を50:50に、海外と日本の売り上げを50:50にする目標が挙げられました。

一方、ホンハイ精密工業は台湾を代表するメーカーであり、iPhoneやiPadの生産も請け負っています。

シャープの堺にある工場では、製品の約半分はホンハイ向けに生産されていました。

シャープの製造ラインでは、東京工業大学の細野教授が開発したIGZO技術を使った液晶ディスプレイが生産されています。

ホンハイは、シャープを傘下に入れることにより、韓国のサムスンに対抗して競争力を強化しようとしているように見えます。

ホンハイは「出資する3888億のうち2000億円を、有機ELパネルの開発費にあてる。今はまだ商品化できていないが開発を急ぐ」(朝日新聞 3/31/16) としています。

シャープには、技術競争力があっても技術経営能力の点で弱みがあったといえるでしょう。

参照


宮崎久美子著『新訂 技術経営の考え方』(2017) 放送大学教育振興会

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